新著について(令和8年1月17日)
このたび法藏館から『禅と念仏――昭和の名僧 森本省念の禅』を上梓させていただいた。この本の出版にはある願いが込められている。
そのことをここで述べておきたい。
ある願いとは、この本を通して微力ながら孝慈室森本省念老師を顕彰したいという思いである。この思いは孝慈室の法嗣であり、私の師であった浅井義宣老師の切願でもあった。
禅の世界的大家である鈴木大拙はかつて孝慈室のことを「現代最高峰の禅僧」とまで評したことがある。しかし、こうした評価は知る人ぞ知る程度にとどまっていて、世間ではあまり知られていない。
このことは孝慈室が名刹として知られた禅道場(僧堂)の指導者(師家)の地位につかなかったことが大きく影響しているであろう。実は孝慈室には幾度か有名な僧堂から師家への拝請があった。しかし孝慈室はそれらを断って、長岡京という鄙に隠れて住むことを選んだのである。
このほか孝慈室がどのように偉大であったかということについては、今度出版された本を読んで、自分の目で確かめていただくほかはない。
ついでにもう一つ付け加えさせていただくと、私はこれまで一貫して「自分とは何であるか、どう生きるべきか」と言うことについて考えてきた。
大学生の頃に好んで著名人の自叙伝の類いを繙いたことも、また私の最初の著書が『自覚の現象学』(行路社、1999)と題されているのもそのことと関係がある。今回の仕事もまたその延長線上にある。
つまり孝慈室の進んでいった道を確かめながら、その同じ道を私も歩んで行きたいという気持ちがどこかにあった。幸い今、本書を書き上げることによって、私の人生探索の旅は到達すべき地点に達したような気がしている。
なお本書の出版が私の長岡禅塾退職の時期との重なったのは、まったくの偶然であったことを最後に記しておきたい。
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