大雲好日日記-22 「建築から見た長岡禅塾」

建築から見た長岡禅塾(1/19)

 

今年も1月17日がやってきた。

阪神・淡路大震災から、この日で24年になるという。

私はこの地震を長岡京市内の自宅で経験した。

幸い、わが家に大した被害はなかったが、

高速道路がまるで飴細工のように、

捻じれて横倒しになっている無残な姿を、

テレビが映し出しているのを見て愕然としたことを覚えている。

 

その後も、東日本大震災をはじめとして、

日本各地で大きな地震が相次いで起っている。

それだけではない。

近い将来、南海トラフ巨大地震の起る可能性も報じられている。

 

そこで地震のための備えを急ぐ必要があるわけであるが、

長岡禅塾でも数年前から耐震の工事が進められている。

その流れの中、今月の11日に関係者による協議会がもたれた。

 

その折のことであるが、

工事担当者の方から思わぬことを知らされたのである。

なんと長岡禅塾の建物が、京都教育委員会の発行する

冊子『京都府の近代和風建築』の中で、

その代表的建築200数件(京都の有名寺院・神社を含む)の一つとして、

2頁(A4判縦2段組み)にわたって紹介されているのである。

 

(長岡禅塾 図面)

 

(長岡禅塾 航空写真)

 

その終わりの部分では、次のように記されている。

「配置構成、内部空間の造形に、

宗教建築の通例にとらわれない独特の様相がみられ、(中略)

規則にとらわれない造形にまとめあげた点で、特異な例である。

伝統的造形より、むしろ同時代の機能主義的建築思想に近い

ところで造形化された建築といえよう。」

 

私も塾内に居住してみて、他の禅道場と違い、

実に機能的にできていると、常々実感していたのであるが、

建築の専門家からそう指摘されて納得がいった次第である。

 

問題は、長岡禅塾が上記のごとき文化的価値の

きわめて高い建造物であると分ったとなると、

その点にも配慮して耐震工事を進める必要があるいうことである。

なぜなら、そこでは当然、文化というものに対する、

関係者の見識が問われることになるだろうからである。

 

私としては、後世への贈り物としても、

「近代和風建築」を代表する建造物の一つ、

長岡禅塾をできるかぎり原型に近い形で

残しておけたらと考えている。

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